》, と記《しる》してあるのは此處《こゝ》と案内《あんない》を乞《こ》ふと、直《す》ぐ見晴《みはら》しのよい一室《ひとま》に通《とう》されて、待《ま》つ程《ほど》もなく靴音《くつおと》高《たか》く入《い》つて來《き》たのはまさしく濱島《はまじま》! 十|年《ねん》相《あひ》見《み》ぬ間《ま》に彼《かれ》には立派《りつぱ》な八字髯《はちじひげ》も生《は》へ、其《その》風采《ふうさい》も餘程《よほど》變《ちが》つて居《を》るが相變《あひかは》らず洒々落々《しや/\らく/\》の男《おとこ》『ヤァ、柳川君《やながはくん》か、これは珍《めづ》らしい、珍《めづ》らしい。』と下《した》にも置《お》かぬ待遇《もてなし》、私《わたくし》は心《しん》から※[#「りっしんべん+喜」、第4水準2−12−73]《うれ》しかつたよ。髯《ひげ》は生《は》へても友達《ともだち》同士《どうし》の間《あひだ》は無邪氣《むじやき》なもので、いろ/\の話《はなし》の間《あひだ》には、昔《むかし》倶《とも》に山野《さんや》に獵暮《かりくら》して、※[#「過」の「咼」に代えて「咼の左右対称」、6−5]《あやまつ》て農家《ひやくし
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