なんぱせん》がある! 難破船《なんぱせん》がある!』と叫《さけ》ぶと、此時《このとき》船長《せんちやう》は既《すで》に寢臺《ベツド》の上《うへ》に横《よこたは》つて居《を》つたが、『何《な》んですか。』とばかり澁々《しぶ/\》起上《おきあが》つて扉《ドーア》を開《ひら》いた。私《わたくし》はツト進《すゝ》み入《ゐ》り

『船長閣下《せんちやうかくか》、越權《えつけん》ながら報告《ほうこく》します、本船《ほんせん》左舷《さげん》後方《こうほう》、三|海里《かいり》許《ばかり》距《へだゝ》つた海上《かいじやう》に當《あた》つて一個《いつこ》の難破船《なんぱせん》がありますぞ。』
『難破船《なんぱせん》※[#疑問符感嘆符、1−8−77] あはゝゝゝゝ。』と船長《せんちやう》は大聲《おほごえ》に笑《わら》つた。驚愕《おどろ》くと思《おも》ひきや、彼《かれ》はいと腹立《はらだ》たし氣《げ》に顏《かほ》を顰《しか》めて
『難船《なんせん》? それは何《なん》ですか、本船《ほんせん》には絶《た》えず[#「絶《た》えず」は底本では「絶《た》えす」]海上《かいじやう》を警戒《みは》る當番《たうばん》水夫
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