《しづ》み去《さ》つた、つゞいて起《おこ》る大紛擾《だいふんじやう》、一艘《いつそう》は船尾《せんび》逆立《さかだ》ち船頭《せんとう》沈《しづ》んで、惡魔印《あくまじるし》の海賊旗《かいぞくき》は、二度《にど》、三度《さんど》、浪《なみ》を叩《たゝ》くよと見《み》る間《ま》に影《かげ》も形《かたち》も。
『それ、櫻木大佐《さくらぎたいさ》來《きたる》! 電光艇《でんくわうてい》の應援《おうえん》ぞ! おくれて彼方《かなた》の水兵《すいへい》に笑《わら》はれな、進《すゝ》め/\。』の號令《がうれい》の下《した》に、軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の士官《しくわん》水兵《すいへい》は勇氣《ゆうき》百倍《ひやくばい》、息《いき》をもつかせず發射《はつしや》する彈丸《だんぐわん》は、氷山《へうざん》[#ルビの「へうざん」は底本では「へざん」]碎《くだ》けて玉《たま》と飛散《とびち》る如《ごと》く、すでに度《ど》を失《うしな》つて、四途路筋斗《しどろもどろ》の海賊船《かいぞくせん》に、命中《あた》るも/\、本艦々尾《ほんかんかんび》の八|吋《インチ》速射砲《そくしやほう》は、忽《たちま》ち一隻《いつせき》を撃沈《げきちん》し、同時《どうじ》に打出《うちだ》す十二|珊《サンチ》砲《ほう》の榴彈《りうだん》は、之《こ》れぞ虎髯大尉《こぜんたいゐ》の大勳功《だいくんこう》! 今《いま》しも死物狂《しにものぐる》ひに、本艦《ほんかん》目掛《めが》けて、突貫《とつくわん》し來《きた》る一船《いつせん》の彈藥庫《だんやくこ》に命中《めいちう》して、船中《せんちう》、船外《せんぐわい》、猛火《まうくわ》※[#「火+稲のつくり」、第4水準2−79−87]々《えん/\》舵《かぢ》は微塵《みじん》に碎《くだ》けて、船《ふね》獨樂《こま》の如《ごと》く廻《まわ》る、海底《かいてい》よりは海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》、さしつたりと電光石火《でんくわうせきくわ》の勢《いきほ》ひ、げにもや電光《でんくわう》影裡《えいり》春風《しゆんぷう》を斬《き》るごとく、形《かたち》は見《み》えねど三尖衝角《さんせんしやうかく》の回旋《めぐ》る處《ところ》、敵船《てきせん》微塵《みじん》に碎《くだ》け、新式魚形水雷《しんしきぎよけいすいらい》の駛《はし》るところ白龍《はくりよう》天《てん》に跳《をど》る、
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