《よ》する七隻《しちせき》の堅艦《けんかん》、怒濤《どたう》は逆卷《さかま》き、風《かぜ》荒《あ》れて、血汐《ちしほ》に染《そ》みたる海賊《かいぞく》の旗風《はたかぜ》いよ/\鋭《するど》く、猛《たけ》く、此《この》戰《たゝかひ》何時《いつ》果《は》つ可《べ》しとも覺《おぼ》えざりし時《とき》。忽《たちま》ち見《み》る! 東雲《しのゝめ》の、遙《はる》か/\の海上《かいじやう》より、水煙《すいゑん》を揚《あ》げ、怒濤《どとう》を蹴《け》つて、驀直《まつしぐら》に駛《か》け來《く》る一艘《いつそう》の長艇《ちやうてい》あり、やゝ近《ちか》づいて見《み》ると、其《その》艇尾《ていび》には、曉風《げふふう》に飜《ひるがへ》る帝國軍艦旗《ていこくぐんかんき》! 見《み》るより、私《わたくし》は右舷《うげん》から左舷《さげん》に躍《をど》つて
『大佐《たいさ》來《きた》! 大佐《たいさ》來《きた》る! 櫻木大佐《さくらぎたいさ》の電光艇《でんくわうてい》來《きた》る※[#感嘆符三つ、369−12]。』と叫《さけ》ぶ響《ひゞき》は砲聲《ほうせい》の絶間《たえま》、全艦《ぜんかん》に鳴《な》り渡《わた》ると、軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の士官《しくわん》水兵《すいへい》一時《いちじ》に動搖《どよ》めき。此時《このとき》艦頭《かんとう》に立《た》てる武村兵曹《たけむらへいそう》は、右鬢《うびん》に微傷《びしやう》を受《う》けて、流《なが》るゝ血汐《ちしほ》の兩眼《りようがん》に入《い》るを、拳《こぶし》に拂《はら》つて、キツと見渡《みわた》す海《うみ》の面《おも》、電光《でんくわう》の如《ごと》く近《ちか》づき來《きた》つた海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》は、本艦《ほんかん》を去《さ》る事《こと》約《やく》一千米突《いつせんメートル》――忽然《こつぜん》波間《はかん》に沈《しづ》んだと思《おも》ふ間《ま》も疾《と》しや遲《おそ》しや、唯《たゞ》見《み》る本艦《ほんかん》前方《ぜんぽう》の海上《かいじやう》、忽《たちま》ち起《おこ》る大叫喚《だいけうくわん》。瞻《なが》むれば一|隻《せき》の海賊船《かいぞくせん》は轟然《ごうぜん》たる響《ひゞき》諸共《もろとも》に、船底《せんてい》微塵《みぢん》に碎《くだ》け、潮煙《てうゑん》飛《と》んで千尋《ちひろ》の波底《はてい》に沈
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