かと疑《うたが》はるゝ。此《この》快絶《くわいぜつ》の時《とき》、忽《たちま》ち舷門《げんもん》のほとりに尋常《たゞ》ならぬ警戒《けいかい》の聲《こゑ》が聽《きこ》えた。艦中《かんちう》の一同《いちどう》はヒタと鳴《なり》を靜《しづ》めたのである。只《たゞ》見《み》る本艦《ほんかん》を去《さ》る事《こと》三海里《さんかいり》餘《よ》、橄欖島《かんらんたう》と覺《おぼ》しき島《しま》の北方《ほつぽう》に當《あた》つて、毒龍《どくりよう》蟠《わだかま》るが如《ごと》き二個《にこ》の島嶼《たうしよ》がある。其《その》島陰《しまかげ》から忽然《こつぜん》として一點《いつてん》の光《ひかり》が[#「光《ひかり》が」は底本では「光《ひかり》か」]ピカリツ。つゞいて一點《いつてん》又《また》一點《いつてん》、都合《つがふ》七隻《しちせき》の奇怪《きくわい》なる船《ふね》は前檣《ぜんしやう》高《たか》く球燈《きゆうとう》を掲《かゝ》げて、長蛇《ちやうだ》の列《れつ》をなして現《あら》はれて來《き》た。月《つき》は隈《くま》ない、其《その》眞先《まつさき》に黒烟《こくゑん》を吐《は》いて進《すゝ》んで來《く》るのは、二本《にほん》烟筒《ゑんとう》に二本《にほん》檣《マスト》! 見忘《みわす》れもせぬ四|年《ねん》前《まへ》のそれ※[#感嘆符三つ、362−11]
『海蛇丸《かいだまる》來《きたる》! 海蛇丸《かいだまる》來《きたる》!。』と私《わたくし》が絶叫《ぜつけう》した時《とき》、虎髯大尉《こぜんたいゐ》は身《み》を翻《ひるが》へして戰鬪樓《せんとうらう》の方《かた》へ走《はし》り去《さ》つた。
唯《たゞ》見《み》る、海蛇丸《かいだまる》の船首《せんしゆ》よりは、閃々《せん/\》と流《なが》るゝ流星《りうせい》の如《ごと》き爆發信號《ばくはつしんがう》が揚《あが》つた、此《この》信號《しんがう》は他船《たせん》の注意《ちうゐ》を喚起《くわんき》する夜間信號《やかんしんがう》、彼《か》[#ルビの「か」は底本では「が」]れ大膽不敵《だいたんふてき》なる海賊船《かいぞくせん》は、今《いま》や何故《なにゆゑ》か其《その》信號《しんがう》を揚《あ》げて、我《わ》が帝國軍艦《ていこくぐんかん》の視線《しせん》を惹《ひ》かんとして居《を》るのである。
我《わ》が艦上《かんじやう》の視線《しせん
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