が、今《いま》現《げん》に海賊《かいぞく》仲間《なかま》の其《その》息子《むすこ》が此《この》港《みなと》に居《を》る事《こと》と、今《いま》の話《はなし》の樣子《やうす》で、朧《おぼろ》ながらも其《そ》れと覺《さと》つた亞尼《アンニー》の驚愕《おどろき》はまアどんなでしたらう。私共《わたくしども》の乘組《のりく》む筈《はづ》の弦月丸《げんげつまる》と、同《おな》じ日《ひ》、同《おな》じ刻《こく》に、ネープルス[#「ネープルス」に二重傍線]港《かう》を出發《しゆつぱつ》する海蛇丸《かいだまる》の目的《もくてき》は云《い》ふ迄《まで》もありません。其《その》息子《むすこ》が大仕事《おほしごと》と云《い》つたのはまさしく弦月丸《げんげつまる》を襲撃《しふげき》して、其《その》貨財《くわざい》を掠奪《りやくだつ》する目的《もくてき》だなと心付《こゝろづ》いた時《とき》、彼女《かのぢよ》は切《せつ》に其《その》非行《ひかう》を諫《いさ》めた相《さう》ですが、素《もと》より思《おも》ひ止《とゞ》まらう筈《はづ》はなく、其《その》暴惡《ぼうあく》なる息子《むすこ》は、斯《か》く推察《すいさつ》された上《うへ》はと、急《きふ》に語勢《ことばつき》荒々《あら/\》しく「おつかさん、左樣《さう》覺《さと》られたからは百年目《ひやくねんめ》、若《も》し此《この》一件《いつけん》を他人《たにん》に洩《もら》すものならば、乃公《おれ》の笠《かさ》の臺《だい》の飛《と》ぶは知《し》れた事《こと》、左樣《さう》なれば破《やぶ》れかぶれ、お前《まへ》の御主人《ごしゆじん》の家《いへ》だつて用捨《ようしや》はない、火《ひ》でもかけて、一人《ひとり》も生《い》かしては置《お》かないぞ。」と鬼《おに》のやうになつて、威迫《おど》したんでせう。亞尼《アンニー》は心《こゝろ》も心《こゝろ》でなく、急《いそ》ぎ私共《わたくしども》の家《いへ》へ歸《かへ》つて來《き》たものゝ、如何《どう》する事《こと》も出來《でき》ません、明瞭《あからさま》に言《い》へば、其《その》子《こ》の首《くび》の飛《と》ぶばかりではなく、私共《わたくしども》の一家《いつか》にも、何處《どこ》からか恐《おそ》ろしい復讐《あだうち》が來《く》るものと信《しん》じて、千々《ちゞ》に心《こゝろ》を碎《くだ》いた揚句《あげく》、遂《つひ》にあ
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