國《エイこく》から新造軍艦《しんざうぐんかん》の廻航中《くわいかうちう》、此《この》「日《ひ》の出《で》」に乘《の》つて居《を》る事《こと》は貴方《あなた》も御覽《ごらん》の通《とう》りです。』と語《かた》り終《をは》つて令兄《れいけい》なる大佐《たいさ》と良君《をつと》武文《たけぶみ》との顏《かほ》を婉然《にこやか》に見《み》た。

    第二十八回 紀念軍艦《きねんぐんかん》
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帝國軍艦「日の出」――此虎髯が御話申す――テームス[#「テームス」に二重傍線]造船所の製造――「明石」に髣髴たる巡洋艦――人間萬事天意のまゝ
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 松島海軍大佐《まつしまかいぐんたいさ》は相《あひ》も變《かは》らず鼻髯《びぜん》を捻《ひね》りつゝ、面白相《おもしろさう》に我等《われら》の談話《だんわ》を聽《き》いて居《を》る。
濱島武文《はまじまたけぶみ》は春枝夫人《はるえふじん》に次《つ》いで口《くち》を開《ひら》いた。
『春枝《はるえ》は大分《だいぶん》愚痴《ぐち》が出《で》ます。女《をんな》はあれだからいかんです。はゝゝゝゝ。けれど私《わたくし》も、弦月丸《げんげつまる》の沈沒《ちんぼつ》を耳《みゝ》にした時《とき》には實《じつ》に愕《おどろ》きました。春枝《はるえ》丈《だ》けは其後《そのご》無事《ぶじ》に皈《かへ》つて來《き》たものゝ、君《きみ》の行衞《ゆくゑ》は知《し》れず、私《わたくし》が兼《かね》てより、有爲《りつぱ》な帝國海軍々人《ていこくかいぐんぐんじん》に養成《やうせい》して、國《くに》に獻《さゝ》げんと心《こゝろ》に樂《たの》しんで居《を》つた日出雄《ひでを》は、君《きみ》と共《とも》に、印度洋《インドやう》の藻屑《もくづ》と消《き》えてしまつたと斷念《だんねん》した時《とき》には、實《じつ》に泣《な》くより辛《つら》かつたです。』といひ掛《か》けて、彼《かれ》は忽《たちま》ち聲《こゑ》高《たか》く笑《わら》ひ
『ほー。私《わたくし》まで愚痴《ぐち》が出《で》た。イヤ、愚痴《ぐち》でない。實際《じつさい》失望落膽《しつぼうらくたん》したです。其頃《そのころ》歐羅巴《エウロツパ》の諸《しよ》新聞《しんぶん》は筆《ふで》を揃《そろ》へて、弦月丸《げんげつまる》の遭難《さうなん》を詳報《しやうほう》し、かの臆病《をくびやう》な
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