《む》けて
『兵曹《へいそう》! あれを見《み》よ/\、濱島君《はまじまくん》に、春枝夫人《はるえふじん》!。』と叫《さけ》ぶと、不意《ふゐ》に愕《おどろ》いたる武村兵曹《たけむらへいそう》は
『ど、ど、ど、何處《どこ》に! どの人《ひと》が?。』と伸上《のびあが》る。
側面《そくめん》の卓上《たくじやう》にあつて、此《この》有樣《ありさま》を認《みと》めたる松島海軍大佐《まつしまかいぐんたいさ》は不審《ふしん》の眉《まゆ》を揚《あ》げ
『いぶかしや、貴君《きくん》は何人《なにびと》なれば[#「何人《なにびと》なれば」は底本では「何人《なにびと》なれは」]、濱島武文《はまじまたけぶみ》と春枝《はるえ》とを御在《ごぞん》じですか。』
私《わたくし》はツト身《み》を乘《の》り出《だ》した
『私《わたくし》こそ、四年《よねん》前《まへ》に、春枝夫人《はるえふじん》と弦月丸《げんげつまる》の沈沒《ちんぼつ》に別《わか》れた柳川《やながは》です。』
松島海軍大佐《まつしまかいぐんたいさ》の端然《たんぜん》たる顏色《がんしよく》は微《かすか》に動《うご》いて
『では、貴君《きくん》は、若《も》しや我《わ》が娚《おい》日出雄少年《ひでをせうねん》の安否《あんぴ》を――。』と言《い》ひかけて、急《いそ》ぎ艦尾《かんび》なる濱島武文《はまじまたけぶみ》と春枝夫人《はるえふじん》とに眸《ひとみ》を移《うつ》すと、彼方《かなた》の二人《ふたり》も忽《たちま》ち私《わたくし》の姿《すがた》を見付《みつ》けた。春枝夫人《はるえふじん》の美《うる》はしき顏《かほ》は『あら。』とばつかり、其《その》良君《おつと》を顧見《かへりみ》る。私《わたくし》は彼方《かなた》へ! 彼方《かなた》は此方《こなた》へ! 轉《まろ》ぶがごとく※[#感嘆符三つ、327−11]
第二十七回 艦長室《かんちやうしつ》
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鼻髯を捻つた――夢では[#「夢では」は底本では「夢でば」]ありますまいか――私は何より※[#「りっしんべん+喜」、第4水準2−12−73]しい――大分色は黒くなりましたよ、はい――今度は貴女の順番――四年前の話
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日《ひ》は高《たか》く、風《かぜ》は清《すゞ》しき軍艦《ぐんかん》「日《ひ》の出《で》」の艦上《かんじやう》、縱帆架《ガーフ》には帝國
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