《むね》をうつて
『艦長閣下《かんちやうかくか》、實《じつ》に容易《ようゐ》ならぬ事變《じへん》は我《わ》が大佐閣下《たいさかくか》の上《うへ》に起《おこ》りました。』と、それより、兵曹《へいそう》と私《わたくし》とは迭代《かたみがはり》に、櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》の海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の事《こと》、其《その》大成功《だいせいこう》の實情《ありさま》、及《およ》び二|月《ぐわつ》十一|日《にち》の夜半《やはん》、大佐《たいさ》功《こう》成《な》り將《まさ》に朝日島《あさひじま》を出發《しゆつぱつ》せんとする瞬時《わづか》前《まへ》、震天動地《しんてんどうち》の大海嘯《おほつなみ》の爲《ため》に、秘密造船所《ひみつざうせんじよ》の倉庫《さうこ》碎《くだ》けて、十二の樽《たる》の流失《りうしつ》した事《こと》から、遂《つひ》に今回《こんくわい》の大使命《だいしめい》に立到《たちいた》つた迄《まで》の大略《あらまし》を述《の》べ
『大佐閣下《たいさかくか》よ、されば吾等《われら》兩名《りようめい》は今《いま》より急《いそ》ぎ印度國《インドこく》コロンボ[#「コロンボ」に二重傍線]の港《みなと》に到《いた》り、十二|種《しゆ》の秘密藥液《ひみつやくえき》を凖備《とゝの》へて、本月《ほんげつ》二十五|日《にち》拂曉《ふつげう》までには、電光艇《でんくわうてい》が待合《まちあ》はすべき筈《はづ》の橄欖島《かんらんたう》まで赴《おもむ》かねばなりません。』と語《かた》り終《をは》ると、聽《き》く水兵等《すいへいら》は驚嘆《きやうたん》の顏《かほ》を見合《みあ》はせ、勇烈《ゆうれつ》なる虎髯大尉《こぜんたいゐ》は、歡《よろこ》び且《か》つ愕《おどろ》きの叫聲《さけび》をもつて倚子《ゐす》より起《た》ちて、松島海軍大佐《まつしまかいぐんたいさ》の面《おもて》を見《み》ると、松島大佐《まつしまたいさ》は握《にぎ》れる軍刀《ぐんたう》の※[#「革+巴」、322−7]《つか》の碎《くだ》くるをも覺《おぼ》えぬまで、滿足《まんぞく》と熱心《ねつしん》との色《いろ》をもつて、屹《きつ》と面《おもて》を揚《あ》げ
『快《くわい》なる哉《かな》、櫻木君《さくらぎくん》の海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》は遂《つひ》に竣工《しゆんこう》しましたか。』と、暫時《しばし》は言
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