同《おな》じ模樣《もやう》の海軍旗《かいぐんき》を、此《この》端艇《たんてい》の艇頭《トツプ》に見出《みいだ》したのである。
私《わたくし》も艇中《ていちう》の一同《いちどう》を見《み》て、實《じつ》に驚《おどろ》き飛立《とびた》つたよ。
『や! 帝國軍人《ていこくぐんじん》! 日本海軍々人《につぽんかいぐんぐんじん》!。』と叫《さけ》びつゝ、頭《かうべ》を廻《めぐ》らすと、此《この》端艇《たんてい》を去《さ》ること程遠《ほどとほ》からぬ洋上《やうじやう》には、先刻《せんこく》の白色巡洋艦《はくしよくじゆんやうかん》は小山《こやま》の如《ごと》き浪《なみ》に漂蕩《へうたう》しつゝ、其《その》後檣縱帆架《ガーフ》と船尾《せんび》とには、旭《あさひ》輝《かゞや》く大日本帝國《だいにつぽんていこく》の軍艦旗《ぐんかんき》は翩飜《へんぽん》と南風《なんぷう》に飜《ひるがへ》つて居《を》つた。
端艇《たんてい》の右舷《うげん》左舷《さげん》に櫂《オール》を握《にぎ》り詰《つ》めたる水兵等《すいへいら》も、吾等《われら》兩人《りようにん》の顏《かほ》を見《み》て、一齊《いつせい》に驚《おどろき》と不審《いぶかり》の眼《まなこ》を見張《みは》つた。艇尾《ていび》には色《いろ》淺黒《あさぐろ》く[#「色《いろ》淺黒《あさぐろ》く」は底本では「黒《いろ》淺黒《あさぐろ》く」]、虎髯《こぜん》を海風《かいふう》に吹《ふ》かせたる雄風《ゆうふう》堂々《どう/″\》たる海軍大尉《かいぐんたいゐ》あり、舵柄《だへい》を握《にぎ》れる身《み》を延《のば》して、『やゝ、貴下等《きから》も日本人《につぽんじん》ではないか。』とばかり、私《わたくし》と武村兵曹《たけむらへいそう》の面《おもて》を見詰《みつ》めたが、西《にし》も東《ひがし》も果《はて》しなき大洋《たいやう》の面《めん》では、荒浪《あらなみ》騷《さわ》ぎ、艇《てい》跳《をど》つて、とても仔細《こま》かい話《はなし》などは出來《でき》ない、かく言《い》ふ間《ま》も巨濤《おほなみ》は、舷《げん》に碎《くだ》けて艇《てい》覆《くつがへ》らんとす、大尉《たいゐ》舵《ラタ》をば右方《うほう》に廻《まは》し、『進《すゝめ》!。』の一聲《いつせい》。端艇《たんてい》は忽《たちま》ち艇頭《ていとう》を右《みぎ》に轉《てん》じて、十二の「オール」の波《な
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