》の馴染《なじみ》の水兵等《すいへいら》は、別《わかれ》を惜《をし》まんとて、輕氣球《けいきゝゆう》の周圍《ぐるり》を取卷《とりま》いたが、誰《たれ》も一言《いちごん》も發《はつ》する者《もの》が無《な》い、中《なか》には感慨《かんがい》極《きはま》つて、涙《なみだ》を流《なが》した者《もの》もあつた。私《わたくし》も武村兵曹《たけむらへいそう》も實《じつ》に心《こゝろ》で泣《な》いたよ。此時《このとき》、吾等《われら》一同《いちどう》の沈默《ちんもく》は、千萬言《せんまんげん》よりも深《ふか》い意味《ゐみ》を有《いう》して居《を》るのであつた。
兎角《とかく》する程《ほど》に結《むす》びの綱《つな》は解《と》かれて、吾等《われら》兩人《りやうにん》を乘《の》せたる輕氣球《けいきゝゆう》は、遂《つひ》に勢《いきほひ》よく昇騰《しようたう》をはじめた。櫻木大佐等《さくらぎたいさら》は一齊《いつせい》にハンカチーフを振《ふ》つた。武村兵曹《たけむらへいそう》と私《わたくし》とは、帽《ぼう》を脱《だつ》して下方《した》を瞻《なが》めたが、風《かぜ》は南《みなみ》から北《きた》へと、吾《わ》が輕氣球《けいきゝゆう》は、三千|數《すう》百|尺《しやく》の大空《たいくう》を、次第《しだい》/\に大陸《たいりく》の方《ほう》へと、やがて、住《す》み馴《な》れし朝日島《あさひじま》も、蒼渺《さうべう》たる水平線上《すいへいせんじやう》に豆《まめ》のやうになつて消《き》え去《さ》つた。
第二十五回 白色巡洋艦《はくしよくじゆんやうかん》
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大陸の影――矢の如く空中を飛走した――ポツンと白い物――海鳥の群――「ガーフ」の軍艦旗――や、や、あの旗は! あの艦は!
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朝日島《あさひじま》を去《さ》つてから、三日《みつか》は何事《なにごと》もなく※[#「過」の「咼」に代えて「咼の左右対称」、299−4]去《すぎさ》つた。吾等《われら》兩人《りやうにん》を乘《の》せたる輕氣球《けいきゝゆう》は、印度洋《インドやう》の天空《てんくう》を横切《よこぎ》つて、北《きた》へ/\と二千哩《にせんマイル》以上《いじやう》も、櫻木大佐等《さくらぎたいさら》の家《いへ》から離《はな》れたと思《おも》はるゝ頃《ころ》、遙《はる》か/\の天《てん》の一角《
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