次第《しだい》です。今《いま》、十二の樽《たる》が盡《ことごと》く流失《りうしつ》したものならば、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の神變《しんぺん》不思議《ふしぎ》の力《ちから》も、最早《もはや》活用《くわつよう》するに道《みち》が無《な》いのです。丁度《ちやうど》普通《ふつう》の蒸※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]船《じようきせん》に石炭《せきたん》の缺乏《けつぼう》したと同《おな》じ事《こと》で、波上《はじやう》に停止《ていし》したまゝ、朽果《くちは》つるの他《ほか》はありません。勿論《もちろん》、電光艇《でんくわうてい》には試運轉式《しうんてんしき》の時《とき》に積入《つみい》れた發動藥液《はつどうやくえき》が、今《いま》も多少《たせう》は殘《のこ》つて居《を》るが、艇《てい》に殘《のこ》つて居《を》る丈《だ》けでは、一千|海里《かいり》以上《いじやう》を進航《しんこう》するに足《た》らぬ程《ほど》で、本島《ほんとう》から一千|海里《かいり》といへば此處《こゝ》から一番《いちばん》に近《ちか》いあの人煙《じんゑん》の稀《まれ》なるマルダイ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82][#「マルダイ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]」に二重傍線]群島《ぐんたう》の一《ひと》つ橄欖島《かんらんたう》の附近《ふきん》までは到達《たうたつ》する事《こと》は出來《でき》ませうが、橄欖島《かんらんたう》へ達《たつ》した所《ところ》で何《なん》にもならない、却《かへつ》て其處《そこ》で、全然《ぜんぜん》進退《しんたい》の自由《じゆう》を失《うしな》つたら夫《それ》こそ大變《たいへん》、自《みづか》ら進《すゝ》んで奇禍《きくわ》を招《まね》くやうなものです。橄欖島《かんらんたう》は荒凉《くわうりやう》たる島《しま》、とても其《その》種《しゆ》の發動藥液《はつどうやくえき》を得《う》る事《こと》は出來《でき》ず、其他《そのた》の諸島《しよたう》、又《また》は大陸《たいりく》に通信《つうしん》して、供給《きようきふ》を仰《あほ》ぐといふ事《こと》も、决《けつ》して出來《でき》る事《こと》では無《な》いのです。加《くわ》ふるに橄欖島《かんらんたう》の附近《ふきん》には、始終《しじう》有名《いうめい》なる海賊船《かいぞくせん》が横行《わうかう》し、また屡々《しば/\》、歐洲
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