》の白絹《しろぎぬ》をば、悉皆《すつかり》使用《しよう》してしまつた相《さう》だ。此事《このこと》を語《かた》つて櫻木大佐《さくらぎたいさ》は笑《わら》ひながら
『諸君《しよくん》は好奇心《こうきしん》から禍《わざはひ》を招《まね》いた罰《ばつ》として、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の竣成《しゆんせい》した曉《あかつき》にも、裝飾《かざり》の無《な》い船室《せんしつ》に辛房《しんぼう》せねばなりませんよ。』
一同《いちどう》はたゞ頭《あたま》を掻《か》くのみ
『はい、はい、どんな事《こと》でも/\。』と、答《こた》へたが、夫《それ》に就《つ》けても氣遣《きづか》はしきは海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の工事《こうじ》の、吾等《われら》が斯《かゝ》る騷動《さわぎ》を引起《ひきおこ》した爲《ため》に、痛《いた》く妨《さまた》げられたのではあるまいかと、私《わたくし》は口籠《くちごも》りながら問《と》ひかけると、大佐《たいさ》は悠々《いう/\》として
『いや、豫定通《よていどう》り、明日《めうにち》が試運轉式《しうんてんしき》で、それより一週間《いつしゆうかん》以内《いない》には、本島《ほんたう》を出發《しゆつぱつ》する事《こと》が出來《でき》ませう。』と言《い》ひつゝ、日出雄少年《ひでをせうねん》に向《むか》つて
『少年《せうねん》よ、待《まち》に待《ま》つたる富士山《ふじさん》を見《み》るのも遠《とほ》い事《こと》ではないよ。』
一同《いちどう》は意外《ゐぐわい》の喜悦《よろこび》に顏《かほ》を見合《みあ》はした。武村兵曹《たけむらへいそう》は我《われ》を忘《わす》れて大聲《おほごゑ》に
『ほー、えれい勢《いきほひ》だ、一方《いつぽう》では輕氣球《けいきゝゆう》を作《こしら》へながら、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》も豫定通《よていどう》りに竣成《しゆんせい》したとなると、吾等《われら》が馬鹿《ばか》を見《み》て居《を》つた間《あひだ》に、大佐閣下《たいさかくか》も、其《その》餘《よ》の水兵《すいへい》共《ども》も、寢《ね》ないで働《はたら》いた譯《わけ》だな。』
大佐《たいさ》は微笑《びせう》と共《とも》に
『武村兵曹《たけむらへいそう》、お前《まへ》の失策《しくさく》の爲《た》めに、八日間《やうかかん》一睡《いつすい》もしないで働《はたら》いた水兵《すいへ
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