な響《ひゞき》と共《とも》に、黒煙《こくえん》パツと立昇《たちのぼ》る。猛獸羣《まうじうぐん》は不意《ふゐ》に驚《おどろ》いて、周章狼狽《あわてふためい》て逃《に》げ失《う》せる。輕氣球《けいききゆう》の上《うへ》では、忽《たちま》ち吾等《われら》の所在《ありか》を見出《みいだ》したと見《み》へ、搖藍《ゆれかご》の中《なか》から誰人《たれ》かの半身《はんしん》が現《あら》はれて、白《しろ》い手巾《ハンカチーフ》が、右《みぎ》と、左《ひだり》にフーラ/\と動《うご》いた。
頓《やが》て氣球《ききゆう》はだん/\と接近《せつきん》して、丁度《ちやうど》鐵車《てつしや》の直《すぐ》上《うへ》五十|呎《フヒート》ばかりになると、空中《くうちう》から大聲《たいせい》で
『一同《いちどう》無事《ぶじ》か。』と叫《さけ》んだのは、懷《なつ》かしや、櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》の聲《こゑ》、同時《どうじ》に、今《いま》一人《ひとり》乘組《のりく》んで居《を》つた馴染《なじみ》の顏《かほ》の水兵《すいへい》が、機敏《きびん》に碇綱《いかりづな》を投《な》げると、それが巧《うま》く鐵檻車《てつおりくるま》の一端《いつたん》に止《とま》つたので、『それツ。』といふ聲《こゑ》諸共《もろとも》、吾等《われら》は鐵車《てつしや》の扉《とびら》を跳《は》ね除《の》け、猿《ましら》の如《ごと》く綱《つな》を傳《つた》つて昇《のぼ》り出《だ》した。丁度《ちやうど》此時《このとき》、一度《いちど》逃去《にげさ》つたる猛獸《まうじう》は、再《ふたゝ》び其處此處《そここゝ》の森林《もり》から現《あら》はれて來《き》たが、つる/\と空中《くうちう》に、昇《のぼ》つて行《ゆ》く吾等《われら》の姿《すがた》を見《み》て、一種《いつしゆ》異樣《ゐやう》に咆哮《ほうかう》した。遂《つひ》に、吾等《われら》五人《ごにん》は安全《あんぜん》に、輕氣球《けいきゝゆう》へ達《たつ》した。大佐《たいさ》の顏《かほ》を見《み》るより日出雄少年《ひでをせうねん》は
『叔父《おぢ》さん、稻妻《いなづま》は、稻妻《いなづま》は――。』
大佐《たいさ》は笑《わら》つて
『無事《ぶじ》だよ、無事《ぶじ》だよ。』
私《わたくし》と二名《にめい》の水兵《すいへい》とは、餘《あま》りの※[#「りっしんべん+喜」、第4水準2−12−7
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