われら》は最早《もはや》一寸《いつすん》も動《うご》く事《こと》能《あた》はず、加《くわ》ふるに、猛獸《まうじう》の襲撃《しふげき》は益々《ます/\》甚《はなはだ》しく、此《この》鐵檻車《てつおりのくるま》をも危《あやう》くせんとす。今《いま》は死《し》を待《ま》つばかりなり。即《すなは》ち難《なん》を貴下《きか》の許《もと》に報《ほう》ず、稻妻《いなづま》幸《さひはひ》に死《し》せずして、貴下《きか》に此《この》書《しよ》を呈《てい》するを得《え》ば、大佐《たいさ》よ、乞《こ》ふ策《はかりごと》を廻《めぐ》らして吾等《われら》の急難《きふなん》を救《すく》ひ玉《たま》へ。
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と、斯《か》く認《したゝ》めて筆《ふで》を止《と》めると、日出雄少年《ひでをせうねん》は沈《しづ》める聲《こゑ》に
『あゝ、大佐《たいさ》の叔父《おぢ》さんは、私共《わたくしども》が今日歸《けふかへ》るか、明日《あす》歸《かへ》るかと待《ま》つていらつしやる處《ところ》へ、此樣《こん》な手紙《てがみ》が行《い》つたら、どんなにか喫驚《びつくり》なさる事《こと》でせう。』と、いふと武村兵曹《たけむらへいそう》は小首《こくび》を捻《ひね》つて
『そこで、私《わたくし》の心配《しんぱい》するのは、義侠《をとこぎ》な大佐閣下《たいさかつか》は、吾等《われら》の大難《だいなん》を助《たす》けやうとして、御自身《ごじしん》に危險《きけん》をお招《まね》きになる樣《やう》な事《こと》はあるまいか。』
『其樣《そん》な事《こと》があつては濟《す》まぬね。』と私《わたくし》は直《たゞ》ちに文《ふみ》を續《つゞ》けた。
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然《さ》れど、大佐《たいさ》よ、吾等《われら》は今《いま》の塲合《ばあひ》に於《おい》て、九死《きゆうし》に一生《いつしやう》をも得難《えがた》き事《こと》をば疾《と》くに覺悟《かくご》せり。今《いま》、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の成敗《せいばい》を一身《いつしん》に擔《にな》へる貴下《きか》の身命《しんめい》は、吾等《われら》の身命《しんめい》に比《ひ》して、幾十倍《いくじふばい》日本帝國《につぽんていこく》の爲《ため》に愛惜《あいせき》すべきものなり。故《ゆゑ》に貴下《きか》が、吾等《われら》を救《すく》はんとて、強《し》いて危險《きけん
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