げ]
自然の殿堂――爆裂彈――エンヤ/\の掛聲――片足の靴――好事魔多し――砂滑りの谷、一名死の谷――深夜の猛獸――かゞり火
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 暫時《しばらく》して、吾等《われら》はまた奇妙《きめう》なものを見《み》た。それは此《この》深山《しんざん》に棲《す》んで居《を》る白頭猿《はくとうえん》と呼《よ》ばるゝ、極《きわ》めて狡猾《こうくわつ》な猴《さる》の一種《いつしゆ》で、一群《いちぐん》凡《およ》そ三十|疋《ぴき》ばかりが、數頭《すうとう》の巨大《きよだい》な象《ぞう》の背《せ》に跨《またが》つて、丁度《ちやうど》アラビヤ[#「アラビヤ」に二重傍線]の大沙漠《だいさばく》を旅行《りよかう》する隊商《たいしやう》のやうに、彼方《かなた》の山背《やまかげ》からぞろ/\と現《あら》はれて來《き》たが、我《わ》が鐵車《てつしや》を見《み》るや否《いな》や非常《ひじやう》に驚愕《おどろ》いて、奇聲《きせい》を放《はな》つて、向《むか》ふの深林《しんりん》の中《なか》へと逃《に》げ失《う》せた。かくて當日《このひ》は、二十|里《り》近《ちか》く進《すゝ》んで日《ひ》が暮《く》れたので、夜《よる》は鐵車《てつしや》をば一《いち》大樹《だいじゆ》の下蔭《したかげ》に停《とゞ》めて、終夜《しうや》篝火《かゞりび》を焚《た》き、二人《ふたり》宛《づゝ》交代《こうたい》に眠《ねむ》る積《つもり》であつたが、怒《いか》り叫《さけ》ぶ猛獸《まうじう》の聲《こゑ》に妨《さまた》げられて、安《やす》らかな夢《ゆめ》を結《むす》んだ者《もの》は一人《ひとり》も無《な》かつた。翌朝《よくあさ》は薄暗《うすくら》い内《うち》から此處《こゝ》を出發《しゆつぱつ》した。初《はじめ》の間《あひだ》は矢張《やはり》昨日《きのふ》と同《おなじ》く、數百頭《すうひやくとう》の猛獸《まうじう》は隊《たい》をなして、鐵車《てつしや》の前後《ぜんご》に隨《したが》つて追撃《ついげき》して來《き》たが、其中《そのうち》には疲勞《つかれ》のために逃去《にげさ》つたのもあらう、また吾等《われら》が絶《た》えず發射《はつしや》する彈丸《だんぐわん》のために、傷《きづゝ》き斃《たを》れたのも少《すくな》くない樣子《やうす》で、此《この》日《ひ》も既《すで》に十二三|里《り》許《ばかり》進《すゝ》みて、海岸《かい
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