》の――私《わたくし》と日出雄少年《ひでをせうねん》とのためには三度目《さんどめ》の、紀元節《きげんせつ》の祝日《いはひのひ》を迎《むか》ふると共《とも》に、目出度《めでた》き試運轉式《しうんてんしき》を擧行《きよかう》し得《う》る迄《まで》の、歡《よろこ》ばしき運《はこ》びに到《いた》つた頃《ころ》、私《わたくし》の擔任《たんにん》の自動鐵車《じどうてつしや》も全《まつた》く出來上《できあが》つた。
今《いま》になつて回想《かんがへ》ると、三|年《ねん》の月日《つきひ》もさて/\速《はや》いものだ。本國《ほんごく》から數千里《すうせんり》距《へだ》たつた此《この》印度洋《インドやう》中《ちう》の孤島《こたう》にあつて、隨分《ずゐぶん》故郷《こきよう》の空《そら》の懷《なつ》かしくなつた事《こと》も度々《たび/\》あつた――昔《むかし》の友人《ともだち》の事《こと》や――品川灣《しながはわん》の朝景色《あさげしき》や――上野淺草《うへのあさくさ》邊《へん》の繁華《にぎやか》な町《まち》の事《こと》や――新橋《しんばし》の停車塲《ステーシヨン》の事《こと》や――回向院《ゑこうゐん》の相撲《すまふ》の事《こと》や――神樂坂《かぐらざか》の縁日《えんにち》の事《こと》や――萬《よろづ》朝報《てうほう》の佛蘭西《フランス》小説《せうせつ》の事《こと》や――錦輝舘《きんきくわん》の政談《せいだん》演説《えんぜつ》の事《こと》や――芝居《しばゐ》の事《こと》や浪花節《なにはぶし》の事《こと》や、それから又《ま》た自分《じぶん》が學校時代《がくかうじだい》によく進撃《しんげき》した藪《やぶ》そばや梅月《ばいげつ》の事《こと》や、其他《そのほか》樣々《さま/″\》な事《こと》を懷想《くわいさう》して、翼《つばさ》あらば飛《と》んでも行《ゆ》きたいまで日本《につぽん》の戀《こひ》しくなつた事《こと》も度々《たび/\》あつたが、然《しか》し比較的《ひかくてき》に※[#「過」の「咼」に代えて「咼の左右対称」、225−7]去《くわこ》の三|年《ねん》は私《わたくし》の爲《ため》には凌《しの》ぎ易《やす》かつたよ、イヤ、其間《そのあひだ》には隨分《ずゐぶん》、諸君《しよくん》には想像《さうざう》も出來《でき》ない程《ほど》、面白《おもしろ》い事《こと》も澤山《たくさん》あつた。獅子狩《しゝが
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