年《ひでをせうねん》の教育《きよういく》の任《にん》をば、之《これ》から此《この》櫻木重雄《さくらぎしげを》が引受《ひきう》けませう。』といふ。
私《わたくし》は此《この》一言《いちごん》で、忽《たちま》ち子ープルス[#「子ープルス」に二重傍線]の親友《しんゆう》や、春枝夫人《はるえふじん》の事《こと》を回想《くわいさう》した。日出雄少年《ひでをせうねん》をば眞個《しんこ》の海軍々人《かいぐんぐんじん》の手《て》に委《ゆだ》ねんとせし彼《かれ》の父《ちゝ》の志《こゝろざし》が、今《いま》や意外《いぐわい》の塲所《ばしよ》で、意外《いぐわい》の人《ひと》に依《よつ》て達《たつ》せらるゝ此《この》嬉《うれ》しき運命《うんめい》に、思《おも》はず感謝《かんしや》の涙《なみだ》は兩眼《りようがん》に溢《あふ》れた。暫時《ざんじ》室内《しつない》はシンとなると、此時《このとき》何處《いづく》とも知《し》れず「君《きみ》が代《よ》[#「君《きみ》が代《よ》」は底本では「君《きみ》か代《よ》」]」の唱歌《せうか》が靜《しづ》かなる海濱《かいひん》の風《かぜ》につれて微《かす》かに聽《きこ》える。オヤと思《おも》つて、窓外《まどのそと》を眺《なが》めると、今宵《こよひ》は陰暦《いんれき》の十三|夜《や》、月明《つきあきら》かなる青水《せいすい》白沙《はくしや》の海岸《かいがん》には、大佐《たいさ》の部下《ぶか》の水兵等《すいへいら》は、晝間《ひるま》の疲勞《つかれ》を此《この》月《つき》に慰《なぐさ》めんとてや、此處《こゝ》に一羣《ひとむれ》。彼處《かしこ》に一群《ひとむれ》、詩吟《しぎん》するのもある。劍舞《けんぶ》するのもある。中《なか》に一團《いちだん》七八|人《にん》の水兵等《すいへいら》は、浪《なみ》に突出《つきだ》されたる磯《いそ》の上《うへ》に睦《むつま》しく輪《わ》をなして、遙《はる》かに故國《こゝく》の天《てん》を望《のぞ》みつゝ、節《ふし》おもしろく君《きみ》が代《よ》の千代八千代《ちよやちよ》の榮《さかえ》を謳歌《おうか》して居《を》るのであつた。
『あゝ、壯快《さうくわい》、壯快《さうくわい》!。』と私《わたくし》は絶叫《ぜつけう》したよ。櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》は徐《しづ》かに立上《たちあが》り
『いざ、吾等《われら》も彼處《かしこ》に行《ゆ
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