《あくさう》を目掛《めが》けて、鐵砲玉《てつぽうだま》の御馳走《ごちさう》でもしてやるばかりだ。其處《そこ》で此《この》鐵車《てつしや》に乘《の》つて、朝日島《あさひじま》の名《な》を刻《きざ》んだ紀念塔《きねんたう》を携《たづさ》へて、此處《こゝ》から三十|里《り》位《ぐら》いの深山《しんざん》に踏入《ふみい》つて、猛獸《まうじう》毒蛇《どくじや》の眞中《まんなか》へ、其《その》紀念塔《きねんたう》を建《た》てゝ來《く》るのだ、何《な》んと巧妙《うま》い工夫《くふう》ではありませぬか。』とポンと小胸《こむね》を叩《たゝ》いて
『此樣《こん》な工夫《くふう》をやるのだもの、此《この》武村新八《たけむらしんぱち》だつてあんまり馬鹿《ばか》にはなりますまい。』と眼《め》を眞丸《まんまる》にして一同《いちどう》を見廻《みまわ》したが、忽《たちま》ち聲《こゑ》を低《ひく》くして
『だが[#「だが」は底本では「だか」]、あんまり威張《ゐば》れないて、此樣《こん》な車《くるま》を製造《こしらへ》ては如何《どう》でせうと、此處《こゝ》まで工夫《くふう》したのは此《この》私《わたくし》だが、肝心《かんじん》の機械《きかい》の發明《はつめい》は悉皆《みんな》大佐閣下《たいさかつか》だよ。』と苦笑《くせう》したので、櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》をはじめ、一座《いちざ》の面々《めん/\》、餘《あま》りの可笑《をか》しさに、一時《いちじ》にドツと笑崩《わらひくづ》るゝ間《あひだ》に、武村兵曹《たけむらへいそう》は平氣《へいき》な顏《かほ》で私《わたくし》に向《むか》ひ
『其處《そこ》で、貴方《あなた》に勸《すゝ》めるのです貴方《あなた》は石炭焚《せきたんた》きだの、料理方《れうりかた》だのつて、其樣《そん》な馬鹿《ばか》な眞似《まね》が出來《でき》るもので無《な》いから、それよりは、此《この》鐵檻車《てつおりぐるま》の製造《せいぞう》にお着手《かゝり》なすつては如何《いかゞ》です、大佐閣下《たいさかつか》も餘程《よほど》前《まへ》から此《この》企《くはだて》はあつたので、すでに製圖《せいづ》まで出來《でき》て居《を》るのだが、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の方《ほう》が急《いそ》がしいので、力《ちから》を分《わ》ける事《こと》が出來《でき》ず、何《いづ》れ艇《てい》の竣成《し
前へ
次へ
全302ページ中176ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
押川 春浪 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング