》の前方《ぜんぽう》に裝置《さうち》されたる螺旋形《らせんけい》の揚上機《やうじやうき》、及《およ》び後方《こうほう》に設《まう》けられたる遞進機《ていしんき》とを使用《しよう》して、登《のぼ》る山道《やまみち》の大木《たいぼく》巨巖等《きよがんとう》を力《ちから》に、螺旋形《らせんけい》の尖端《せんたん》は先《ま》づ螺釘《らてい》の如《ごと》く前方《ぜんぽう》の大木《たいぼく》に捩《ねぢ》れ込《こ》み、車内《しやない》の揚上機《やうじやうき》の運轉《うんてん》と共《とも》に、其《その》螺旋《らせん》は自然《しぜん》に收縮《しゆうしゆく》して、次第《しだい》/\に鐵車《てつしや》を曳上《ひきあ》げ、遞進機《ていしんき》は螺旋形揚上機《らせんけいやうじやうき》とは反對《はんたい》に、後方《こうほう》の巖石《がんせき》を支臺《さゝへ》として、彈力性《だんりよくせい》の槓桿《こうかん》の伸張《しんちやう》によつて、無二無三《むにむさん》に鐵車《てつしや》を押上《おしあ》げるのである。鐵車《てつしや》深林《しんりん》を行《ゆ》くには、一層《いつそう》巧妙《こうめう》なる器械《きかい》がある、それは鐵車《てつしや》の前方《ぜんぽう》木牛頭《もくぎうとう》の上下《じやうか》より突出《とつしゆつ》して、二十一の輪柄《りんぺい》を有《いう》する四個《しこ》の巨大《きよだい》なる旋廻圓鋸機《せんくわいゑんきよき》と、むかし佛蘭西《フランス》の革命時代《かくめいじだい》に、日《ひ》に一萬三千人《いちまんさんぜんにん》の首《くび》を刎《は》ねたりと呼《よ》ばるゝ、世《よ》にも恐《おそ》るべき斬頭刄《ギラチン》の形《かたち》に髣髴《ほうふつ》たる、八個《はつこ》の鋭利《えいり》なる自轉伐木鉞《じてんばつもくふ》との仕掛《しか》けにて、行道《ゆくて》に塞《ふさ》がる巨木《きよぼく》は幹《みき》より鋸《ひ》き倒《たほ》し、小木《せうぼく》は枝《えだ》諸共《もろとも》に伐《き》り倒《たほ》して猛進《まうしん》[#ルビの「まうしん」は底本では「ほうしん」]するのであるから、如何《いか》なる險山《けんざん》深林《しんりん》に會《くわい》しても、全《まつた》く進行《しんかう》を停止《ていし》せらるゝやうな患《うれひ》はないのである。
鐵檻《てつおり》の車《くるま》の出入口《でいりぐち》は、不思議《ふし
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