室《へや》から一面《いちめん》の製圖《せいづ》を携《たづさ》へて來《き》て、卓上《たくじやう》に押廣《おしひろ》げ
『これです、自動冐險鐵車《じどうぼうけんてつしや》の設計《せつけい》といふのは――先《ま》づ此《この》鐵檻《てつおり》の車《くるま》の恰形《かくこう》は木牛《もくぎう》に似《に》て、長《なが》さ二十二|尺《しやく》、幅員《はゞ》十三|尺《じやく》、高《たか》さは木牛形《もくぎうけい》の頭部《とうぶ》に於《おい》て十二|尺《しやく》、後端《こうたん》に於《おい》て十|尺《しやく》半《はん》、四面《しめん》は其《その》名《な》の如《ごと》く、堅牢《けんらう》なる鐵《てつ》の檻《おり》をもつて圍繞《かこ》まれ、下床《ゆか》は彈力性《だんりよくせい》を有《いう》するクロー鋼板《かうばん》で、上部《じやうぶ》は半面《はんめん》鐵板《てつぱん》に蔽《おほ》はれ、半面《はんめん》鐵檻《てつおり》をもつて作《つく》られ、鐵車《てつしや》は都合《つごう》十二の車輪《くるま》を備《そな》へ、其内《そのうち》六|個《こ》は齒輪車《しりんしや》で、此《この》車輪《しやりん》を運轉《うんてん》する動力《どうりよく》は、物理學上《ぶつりがくじやう》の種々《しゆ/″\》なる原則《げんそく》を應用《おうよう》せる、極《きは》めて巧緻《こうち》なる自轉《じてん》の仕組《しくみ》にて、車内《しやない》前部《ぜんぶ》の機械室《きかいしつ》には「ノルデン、インヂン」に髣髴《ほうふつ》たる、非常《ひじやう》に堅牢《けんらう》緻密《ちみつ》なる機械《きかい》の設《まう》けありて、大《だい》、中《ちう》、小《せう》、三十七|種《しゆ》の齒輪車《しりんしや》は互《たがひ》に噛合《かみあ》ひ、吸鍔桿《ピストン》、曲肱《クンク》、方位盤《ダイレクター》に似《に》たる諸種《しよしゆ》の器械《きかい》は複雜《ふくざつ》を極《きは》め、恰《あだか》も聯成式《れんせいしき》の蒸氣機關《じようききくわん》を見《み》るやうである。今《いま》一個《いつこ》の人《ひと》あり、車臺《しやだい》に坐《ざ》して、右手《ゆんで》に柄子《とりで》を握《にぎ》つて旋廻輪《せんくわいりん》を廻《まわ》しつゝ、徐々《じよ/\》に足下《そくか》の踏臺《ふみだい》を踏《ふ》むと忽《たちま》ち傍《かたはら》に備《そな》へられたる號鈴器《がう
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