いへど》も、動《うご》かし難《がた》き確證《くわくしよう》を留《とゞ》め、※[#「一/力」、208−5]一《まんいち》他國《たこく》の容嘴《ようし》する塲合《ばあひ》には、一言《いちげん》の下《した》に、大日本帝國《だいにつぽんていこく》の領地《りようち》である事《こと》を明示《めいし》し得《う》る計畫《けいくわく》を立《た》てゝ置《お》かねばならぬ。
斯《か》く語《かた》りかけた櫻木大佐《さくらぎたいさ》は一息《ひといき》つき
『そこで一個《ひとつ》の妙案《めうあん》を考《かんが》へ出《だ》したのです。』と言《い》ひながら、頭《かうべ》を廻《めぐ》らし
『實《じつ》は、此《この》妙案《めうあん》の發明者《はつめいしや》は、武村兵曹《たけむらへいそう》と云《い》つてもよい。』と打笑《うちわら》ひつゝ
『武村兵曹《たけむらへいそう》、悉《くわ》しく汝《おまへ》から語《かた》つてあげい。』
聲《こゑ》に應《おう》じて、快活《くわいくわつ》なる兵曹《へいそう》は進《すゝ》み出《で》た。
『私《わたくし》は喋《しやべ》る事《こと》が下手《へた》だから、分《わか》らなかつたら、何度《なんど》でも聽返《きゝかへ》して下《くだ》さい。』と例《れい》の口調《くちよう》で
『其《その》妙案《めうあん》といふのは斯《か》うなんです。貴下《あなた》も御存《ごぞん》じの通《とう》り、此《この》朝日島《あさひじま》は、此《この》家《いへ》の附近《ふきん》を除《のぞ》いては、到《いた》る處《ところ》皆《みな》危險《きけん》な塲所《ばしよ》で、深山《しんざん》へ十|里《り》以上《いじやう》も進《すゝ》んで行《ゆ》くと、天狗《てんぐ》が居《を》るか魔性《ませう》が居《を》るか分《わか》らない、イヤ、正歟《まさか》、其樣《そん》な者《もの》は居《ゐ》まいが、毒蛇《どくじや》や、猛狒《ゴリラ》や、獅子《しゝ》や、虎《とら》の類《るい》が數知《かずし》れず棲《す》んで居《を》つて、私《わたくし》の樣《やう》な無鐵砲《むてつぽう》な人間《にんげん》でも、とても恐《おそ》ろしくつて行《い》けぬ程《ほど》だから、誰人《たれ》だつて足踏《あしふみ》は出來《でき》ませない。そこでね、私《わたくし》の考《かんが》へるには、今《いま》一個《ひとつ》の堅固《けんご》な紀念塔《きねんたふ》を作《こしら》へて、其《その》深
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