認《したゝ》めかけると、日《ひ》は暮《く》れ、日出雄少年《ひでをせうねん》も稻妻《いなづま》と、一日《いちにち》四方八方《しほうはつぽう》を走《はし》り歩《ある》いた爲《ため》に酷《ひど》く疲《つか》れて歸《かへ》つて來《き》て、私《わたくし》の膝《ひざ》[#ルビの「ひざ」は底本では「ひだ」]に恁《もた》れた儘《まゝ》、二人《ふたり》暮《く》れ行《ゆ》く空《そら》の景色《けしき》を眺《なが》めて居《を》る頃《ころ》、櫻木大佐《さくらぎたいさ》、武村兵曹《たけむらへいそう》、他《ほか》一隊《いつたい》の水兵《すいへい》は今日《けふ》の業《しごと》を終《をは》つて、秘密造船所《ひみつぞうせんじよ》から皈《かへ》つて來《き》た。
例《いつも》の事《こと》だが、此《この》日《ひ》の晩餐《ばんさん》は特《こと》に私《わたくし》の爲《ため》には愉快《ゆくわい》であつたよ。何故《なぜ》となれば昨日《きのふ》までは、如何《いか》に重要《ぢうえう》な事《こと》にしろ、櫻木大佐《さくらぎたいさ》が或《ある》秘密《ひみつ》をば其《その》胸《むね》に疊《たゝ》んで私《わたくし》に語《かた》らぬと思《おも》ふと、多少《たせう》不快《ふくわい》の感《かん》の無《な》いでもなかつたが、今《いま》は秘密造船所《ひみつぞうせんじよ》の事《こと》も、海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の事《こと》も盡《こと/″\》く分《わか》り、且《か》つは我《わ》が敬愛《けいあい》する大佐《たいさ》は、斯《かゝ》る大秘密《だいひみつ》をも明《あきらか》に洩《もら》す程《ほど》、私《わたくし》を信任《しんにん》して居《を》るかと思《おも》ふと、嬉《うれ》しさは胸《むね》に滿《み》ち溢《あふ》れて、其《その》知遇《ちぐう》を感《かん》ずる事《こと》益々《ます/\》深《ふか》きと共《とも》[#ルビの「とも」は底本では「とき」]に、私《わたくし》の心《こゝろ》を苦《くる》しめるのは、たゞ如何《いか》にして此《この》厚意《かうゐ》に酬《むく》いんかとの一念《いちねん》。たとへ偶然《ぐうぜん》とはいへ、此《この》離《はな》れ島《じま》に漂着《へうちやく》して、斯《か》く大佐《たいさ》の家《いへ》に住《す》み、大佐《たいさ》をはじめ武村兵曹《たけむらへいそう》其他《そのほか》の水兵等《すいへいら》に一方《ひとかた》ならず世話《せわ
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