力《どうりよく》による事《こと》は疑《うたがひ》を容《ゐ》れぬが、殊《こと》に艇尾《ていび》兩瑞《りようたん》に裝置《さうち》されたる六枚《ろくまい》の翅《つばさ》を有《いう》する推進螺旋《スクリユー》の不思議《ふしぎ》なる廻轉作用《くわいてんさよう》の與《あづか》つて力《ちから》ある事《こと》を記臆《きおく》して貰《もら》はねばならぬ。
讀者《どくしや》諸君《しよくん》、私《わたくし》は此《この》秘密《ひみつ》なる海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》の構造《かうざう》については、最早《もはや》説明《せつめい》の筆《ふで》を止《と》めるが、今《いま》の世《よ》は愚《おろ》か、後《のち》の世《よ》にも稀《まれ》にも見出《みいだ》し難《がた》き此《この》軍艇《ぐんてい》が他日《たじつ》其《その》船渠《ドツク》を離《はな》れて世界《せかい》の海上《かいじやう》に浮《うか》んだ時《とき》には、果《はた》して如何《いか》なる驚愕《きようがく》と恐怖《けうふ》とを※[#「一/力」、193−1]國《ばんこく》の海軍社會《かいぐんしやくわい》に與《あた》へるであらうか。世《よ》に若《も》し怪物《くわいぶつ》といふ者《もの》があるならば、此《この》軍艇《ぐんてい》こそ確《たしか》に地球《ちきゆう》の表面《ひやうめん》に於《おい》て、最《もつと》も恐《おそ》るべき大怪物《だいくわいぶつ》として、永《なが》く歐米諸國《をうべいしよこく》の海軍社會《かいぐんしやくわい》の記臆《きおく》に留《とゞま》るであらう。私《わたくし》は斷言《だんげん》する、此《この》海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》が一度《ひとたび》逆浪《げきらう》怒濤《どたう》を蹴《け》つて縱横無盡《じゆうわうむじん》、隱見出沒《いんけんしゆつぼつ》の魔力《まりよく》と逞《たくま》しうする時《とき》には、たとへ百《ひやく》の艦隊《かんたい》、千《せん》の大戰鬪艦《だいせんとうかん》が彈丸《だんぐわん》の雨《あめ》を降《ふ》らして對《むか》つたとて、とても此《この》艇《てい》の活動《くわつどう》を妨《さまた》げる事《こと》は出來《でき》ぬのである。少《すこ》し海軍《かいぐん》の事《こと》に通《つう》じた人《ひと》は誰《たれ》でも知《し》つて居《を》る、すでに海水中《かいすいちう》十四|呎《フヒート》以下《いか》に沈《しづ》んだる或《
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