ある》物《もの》に向《むか》つては、世界最強力《せかいさいきようりよく》のガツトリング[#「ガツトリング」に傍線]機砲《きほう》でも、カ子ー[#「カ子ー」に傍線]砲《ほう》でも、些少《させう》の打撃《だげき》をも加《くわ》ふる事《こと》が出來《でき》ぬのである。况《いわ》んや此《この》海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》は、波威《はてい》に沈降《ちんかう》する事《こと》三十|呎《フヒート》乃至《ないし》五十|呎《フヒート》、其《その》潜行《せんかう》を持續《ぢぞく》し得《う》る時間《じかん》は無制限《むせいげん》であるから、一度《ひとたび》此《この》軍艇《ぐんてい》に睥睨《にら》まれたる軍艦《ぐんかん》は、恰《あだか》も昔物語《むかしがたり》の亞剌比亞《アラビヤ》の沙漠《さばく》の大魔神《だいましん》に魅《みゐ》られたる綿羊《めんよう》のごとく、遁《のが》れんとして遁《のが》るゝ能《あた》はず、鬪《たゝか》はんか、速射砲《そくしやほう》もガツトリング[#「ガツトリング」に傍線]砲《ほう》も到底《とうてい》力《ちから》及《およ》ばぬ海底《かいてい》の此《この》大怪物《だいくわいぶつ》を奈何《いか》せん。此方《こなた》海底戰鬪艇《かいていせんとうてい》は、我《われ》に敵抗《てきこう》する艦隊《かんたい》ありと知《し》らば、戰鬪凖備《せんとうじゆんび》を整《とゝの》ふる間《ま》も疾《と》しや遲《おそ》しや、敵艦《てきかん》若《も》し非裝甲軍艦《ひさうかうぐんかん》ならば、併列水雷發射機《へいれつすいらいはつしやき》を使用《しよう》する迄《まで》もなく、かの驚《おどろ》くべき三尖衝角《さんせんしやうかく》を絞車《こうしや》の如《ごと》く廻旋《くわいせん》して、一撃《いちげき》突進《とつしん》、敵艦《てきかん》を粉韲《ふんさい》する事《こと》を得可《うべ》く、敵艦《てきかん》若《も》し十四|吋《インチ》以上《いじやう》の裝甲軍艦《さうかうぐんかん》ならば、艇《てい》は逆浪《げきらう》怒濤《どたう》の底《そこ》を電光《でんくわう》の如《ごと》く駛航《しかう》しつゝ、鏡《かゞみ》に映《うつ》る敵情《てきじやう》を察《さつ》して、發射廻旋輪《はつしやくわいせんりん》の一轉《いつてん》又《また》一轉《いつてん》右舷《うげん》左舷《さげん》より發射《はつしや》する新式魚形水雷《しんしきぎ
前へ
次へ
全302ページ中157ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
押川 春浪 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング