う》は前《まへ》と同《おな》じ樣《やう》に其《その》扉《とびら》を押開《おしひら》くと、同時《どうじ》にサツと射込《さしこ》む日《ひ》の光《ひかり》、疑《うたがひ》もない、扉《とびら》の彼方《かなた》は明《あか》るい所《ところ》だ、兵曹《へいそう》はプツと球燈《きゆうとう》を吹消《ふきけ》す、途端《とたん》に、櫻木大佐《さくらぎたいさ》は私《わたくし》に向《むか》ひ
『此處《こゝ》です。』と一言《いちごん》を殘《のこ》して、先《ま》づ鐵門《てつもん》を※[#「穴かんむり/兪」、第4水準2−83−17]《くゞ》つた、私《わたくし》もつゞいて其《その》中《なか》に入《い》ると、忽《たちま》ち見《み》る、此處《こゝ》は、四方《しほう》數百《すうひやく》間《けん》の大洞窟《おほほらあな》で、前後左右《ぜんごさゆう》は削《けづ》つた樣《やう》な巖石《がんぜき》に圍《かこ》まれ、上部《じやうぶ》には天窓《てんまど》のやうな、巨大《おほき》な岩《いわ》の裂目《さけめ》があつて、其處《そこ》から太陽《たいやう》の光《ひかり》は不足《ふそく》なく洞中《どうちう》を照《てら》してをるのである。耳《みゝ》を傾《かたむ》けると、何處《いづく》ともなく鼕々《とう/\》と浪《なみ》の音《おと》の聽《きこ》ゆるのは、此《この》削壁《かべ》の外《そと》は、怒濤《どとう》逆卷《さかま》く荒海《あらうみ》で、此處《こゝ》は確《たしか》に海底《かいてい》數十《すうじふ》尺《しやく》の底《そこ》であらう。此塲《このば》の光景《くわうけい》のあまりに天然《てんねん》に奇體《きたい》なので、私《わたくし》は暫時《しばし》、此處《こゝ》は人間《にんげん》の境《きやう》か、それとも、世界《せかい》外《ぐわい》の或《ある》塲所《ばしよ》ではあるまいかと疑《うたが》つた程《ほど》で、更《さら》に心《こゝろ》を落付《おちつ》けて見《み》ると、總《すべ》ての構造《こうざう》は全《まつた》く小造船所《せうざうせんじよ》のやうで、宏大《くわうだい》なる洞窟《どうくつ》の中《なか》は數部《すうぶ》に分《わか》たれ、船渠《せんきよ》、起重機《きじゆうき》、製圖塲等《せいづじやうとう》の整備《せいび》はいふ迄《まで》もなく、錬鐵塲《れんてつじやう》には鎔解爐《ようかいろ》あり、大鐵槌《だいてつゝゐ》あり、鑄物塲《ちゆうぶつじやう》
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