私《わたくし》に一個《ひとつ》の秘密《ひみつ》がある、此《この》秘密《ひみつ》は私《わたくし》と、私《わたくし》の腹心《ふくしん》の三十七|名《めい》の水兵《すいへい》と、帝國海軍《ていこくかいぐん》部内《ぶない》の某々《ぼう/\》有司《いうし》の他《ほか》には、誰《たれ》も知《し》つて居《を》る者《もの》は無《な》いのです、また、决《けつ》して、他《た》に洩《もら》すまじき秘密《ひみつ》ですが、今《いま》斯《か》くなつて同《おな》じ境遇《きやうぐう》に、長《なが》き月日《つきひ》を暮《くら》す間《あひだ》には、何時《いつ》か君等《きみら》の前《まへ》に、其事《そのこと》の表顯《あらはれ》ずには終《をは》るまい。』斯《か》く言《い》ひかけて、大佐《たいさ》は靜《しづ》かに眼《まなこ》をあげ
『君《きみ》も私《わたくし》が何《な》んの爲《ため》に此《この》島《しま》へ來《き》たか、今《いま》や何《なに》を爲《な》しつゝあるやに就《つ》いて、多少《たせう》の御考察《おかんがへ》はあるでせう。』
さてこそ、と、私《わたくし》は片唾《かたづ》を飮《の》んだ。
『朧《おぼろ》ながら、或《ある》想像《さうぞう》を描《えが》いて居《を》ります。』と答《こた》へると、大佐《たいさ》は打點頭《うちうなづ》き
『此《この》秘密《ひみつ》は、實《じつ》に私《わたくし》の生命《せいめい》です。今《いま》は數年《すうねん》の昔《むかし》、君《きみ》は御記臆《ごきをく》ですか、※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]船《きせん》の甲板《かんぱん》で、私《わたくし》が奇妙《きめう》なる詩《し》を吟《ぎん》じ、また、歐洲《をうしう》列國《れつこく》の海軍力《かいぐんりよく》の増加《ぞうか》と、我國《わがくに》の現况《げんけう》とを比較《ひかく》して、富《とみ》の度《ど》より、機械學《きかいがく》の進歩上《しんぽじやう》より、我國《わがくに》は今日《こんにち》の如《ごと》く、啻《たゞ》に數艘《すうそう》の軍艦《ぐんかん》の多《おほ》くなつた位《くらい》や、區々《くゝ》たる軍器《ぐんき》の製造《せいぞう》にも、多《おほ》く彼等《かれら》の後《あと》を摸傚《まね》して居《を》る樣《やう》では、到底《とても》東洋《とうやう》の平和《へいわ》を維持《ゐぢ》し、進《すゝ》んで外交上《ぐわいこうじやう》の
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