ろ》いよ、魚《さかな》も澤山《たんと》釣《つ》れるし、獅子狩《ししがり》も出來《でき》るし、今《いま》に皈《かへ》りたく無《な》くなるよ。』
大佐《たいさ》は苦笑《くせう》しながら
『誰《たれ》が、此樣《こん》な離《はな》れ島《じま》に永住《えいぢゆう》を望《のぞ》むものか。』とばかり、私《わたくし》に向《むか》ひ
『然《しか》し、何事《なにごと》も天命《てんめい》です。けれど君《きみ》よ、决《けつ》して絶望《ぜつぼう》し玉《たま》ふな。吾等《われら》は何時《いつ》か、非常《ひじやう》の幸福《かうふく》を得《え》て、再《ふたゝ》び芙蓉《ふよう》の峯《みね》を望《のぞ》む事《こと》が出來《でき》ませう――イヤ確信《くわくしん》します、今《いま》より三年《さんねん》の後《のち》は屹度《きつと》其時《そのとき》です。』と言放《いひはな》つて、英風《えいふう》颯々《さつ/\》、逆浪《げきらう》岩《いわ》に碎《くだ》くる海邊《かいへん》の、唯《と》ある方角《ほうがく》を眺《なが》めた。
第十四回 海底《かいてい》の造船所《ざうせんじよ》
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大佐の後姿がチラリと見えた――獅子狩は眞平御免だ――猛犬稻妻秘密の話――屏風岩――物凄い跫音――鐵門の文字
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其《その》翌朝《よくてう》日出雄少年《ひでをせうねん》と私《わたくし》とが目醒《めざ》めたのは八|時《じ》※[#「過」の「咼」に代えて「咼の左右対称」、166−10]《すぎ》で櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》は、武村兵曹《たけむらへいそう》をはじめ一隊《いつたい》の水兵《すいへい》を引卒《ひきつ》れて、何處《いづこ》へか出去《いでさ》つた後《あと》であつた。朝餉《あさげ》を運《はこ》んで來《き》た料理方《れうりかた》の水兵《すいへい》は、大佐《たいさ》が外出《ぐわいしゆつ》の時《とき》の言傳《ことづて》だとて、左《さ》の如《ごと》く語《かた》つた。
『大佐《たいさ》は、今朝《けさ》も定《さだま》れる職務《しよくむ》に參《まゐ》るが、昨夜《さくや》は取紛《とりまぎ》れて語《かた》らず、今朝《こんてう》は猶《な》ほ御睡眠中《ごすいみんちう》なれば、此《この》水兵《すいへい》を以《もつ》て申上《もうしあ》げるが、此《この》住家《すみか》の十|町《ちやう》以内《いない》なれば、
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