何處《いづく》へ行《ゆ》かるゝも御自由《ごじいう》なれど、其《その》以外《いぐわい》は、猛獸《まうじう》毒蛇等《どくじやとう》の危害《きがい》極《きわ》めて多《おほ》ければ、决《けつ》して足踏《あしぶ》みし玉《たま》ふな、大佐《たいさ》は夕刻《ゆふこく》に皈《かへ》つて、再《ふたゝ》び御目《おめ》にかゝる可《べ》し。』との注意《ちうゐ》。私《わたくし》も少年《せうねん》も、今猶《いまな》ほ十|數日《すうにち》以來《いらい》の疲勞《つかれ》を感《かん》じて居《を》るので、其樣《そんな》に高歩《たかある》きする氣遣《きづかひ》はないが、まして此《この》注意《ちうゐ》があつたので、一層《いつそう》心《こゝろ》を配《くば》り、食後《しよくご》は、日記《につき》を書《か》いたり、少年《せうねん》と二人《ふたり》で、海岸《かいがん》の岩《いわ》の上《うへ》から果《はて》しなき大海原《おほうなばら》を眺《なが》めたり、家《いへ》の後《うしろ》の椰子林《やしばやし》で、無暗《むやみ》に美《うるは》しき果實《くわじつ》を叩《たゝ》き落《おと》したり、または家《いへ》に殘《のこ》つて居《を》つた水兵《すいへい》に案内《あんない》されて、荒磯《あらいそ》のほとりで、海鼈《うみがめ》を釣《つ》つたりして、一日《いちにち》を暮《くら》してしまつた。
夕日《ゆふひ》の沈《しづ》む頃《ころ》、櫻木大佐《さくらぎたいさ》も武村兵曹《たけむらへいそう》も、痛《いた》く疲《つか》れて皈《かへ》つて來《き》たが、終日《しうじつ》延氣《のんき》に遊《あそ》んだ吾等《われら》兩人《りやうにん》の顏《かほ》の、昨日《きのふ》よりは餘程《よほど》勝《すぐ》れて見《み》へるとて、大笑《おほわら》ひであつた。此《この》夜《よ》も夜更《よふけ》まで色々《いろ/\》の快談《くわいだん》。
翌朝《よくあさ》、私《わたくし》はまだ大佐《たいさ》の外出《ぐわいしゆつ》前《まへ》だらうと思《おも》つて、寢床《ねどこ》を離《はな》れたのは六時《ろくじ》頃《ごろ》であつたが、矢張《やはり》大佐等《たいさら》は、今少《いますこ》し前《まへ》に家《いへ》を出《で》たといふ後《のち》、また※[#「抜」の「友」に代えて「ノ/友」、168−6]《ぬ》かつたりと、少年《せうねん》と二人《ふたり》で、二階《にかい》の窓《まど》に倚《よ》つて眺《
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