》も空《むな》しく暮《く》れて夜《よ》に入《い》つたが、考《かんが》へると此後《このゝち》吾等《われら》は如何《いか》になる事《こと》やら、絶望《ぜつぼう》と躍氣《やつき》とに終夜《しゆうや》眠《ねむ》らず、翌朝《よくてう》になつて、曉《あかつき》の風《かぜ》はそよ/\と吹《ふ》いて、東《ひがし》の空《そら》は白《しら》んで來《き》たが、最早《もはや》起上《おきあが》る勇氣《ゆうき》もない、『えい、無益《だめ》だ/\、糧食《かて》は盡《つ》き、※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]船《ふね》は見《み》えず、今更《いまさら》たよる島《しま》も無《な》い。』と思《おも》はず叫《さけ》んだが、不圖《ふと》傍《かたわら》に日出雄少年《ひでをせうねん》が安《やす》らかに眠《ねむ》つて居《を》るのに心付《こゝろつ》き、や、詰《つま》らぬ事《こと》をと、急《いそ》ぎ其方《そなた》を見《み》ると少年《せうねん》は、今《いま》の聲《こゑ》に驚《おどろ》き目醒《めざ》め、むつと起《お》きて、半身《はんしん》を端艇《たんてい》の外《そと》へ出《だ》したが、忽《たちま》ち驚《おどろ》き悦《よろこび》の聲《こゑ》で
『島《しま》が! 島《しま》が! 叔父《おぢ》さん、島《しま》が! 島《しま》が!。』
『島《しま》がツ。』と私《わたくし》も蹴鞠《けまり》のやうに跳起《はねお》きて見《み》ると、此時《このとき》天《てん》全《まつた》く明《あ》けて、朝霧《あさぎり》霽《は》れたる海《うみ》の面《おも》、吾《わ》が端艇《たんてい》を去《さ》る事《こと》三海里《さんかいり》ばかりの、南方《なんぽう》に當《あた》つて、椰子《やし》、橄欖《かんらん》の葉《は》は青※[#二の字点、1−2−22]《あほ/\》と茂《しげ》つて、磯《いそ》打《う》つ波《なみ》は玉《たま》と散《ち》る邊《へん》、一個《いつこ》の島《しま》が横《よこたは》つて居《を》つた。
第十一回 無人島《むじんたう》の響《ひゞき》
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人の住む島か、魔の棲む島か――あら、あの音は――奇麗な泉――ゴリラの襲來――水兵ヒラリと身を躱した――海軍士官の顏
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此《この》島《しま》は、遠《とほ》くから望《のぞ》むと、恰《あだか》も犢牛《こうし》の横《よこたは》つて居《を》る樣《やう》な形《
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