り深くなくてはいけません。そして自身も職業を持つならば、退《ひ》け時刻の早い方が遅く帰る方を待ちうける用意をして置きなさい。朝、出かけの早い方を遅い方が送って上げるのも同様です。この際昔風な夫、妻、の観念を除き、同じ労力を分《わか》って家事を分担する友、恋人同志であり同時に普通の夫婦以上、妻は夫に与える所の多い女性として尊敬して、夫たる男性の手に適するかぎり家事の労力なども妻の助けとなるべきです。但《ただ》し呉々《くれぐれ》も妻は己の職業に慢心《まんしん》して大切にして貰《もら》う夫に狎《な》れ、かりにも威張《いば》ったり増長《ぞうちょう》せぬこと。月並の戒《いましめ》のようなれど、余程《よほど》の心がけなくてはいわゆる女性の浅《あさ》はかより、この弊《へい》に陥《おちい》り易《やす》かるべし。
底本:「愛よ、愛」メタローグ
1999(平成11)年5月8日第1刷発行
底本の親本:「岡本かの子全集」冬樹社
1976(昭和51)年発行
※「仕末《しまつ》」の表記について、底本は、原文を尊重したとしています。
入力:門田裕志
校正:土屋隆
2004年3月30日作成
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