子叙情の表現法だなあ」


 かの女は、枕元《まくらもと》のスタンドの灯を消し、自分の頬《ほお》に並べて枕の上に置いてあった規矩男の手紙を更に夜闇《よやみ》のなかに投げ出した。規矩男の手紙を読み終えてから今までじっと悲しく見つめ考えていたスタンドの灯影の一条が、闇のなかで閉じたかの女の眼の底に畳まり込み、それが規矩男の手紙の字画の線の印象と同じ眼底で交り合い、なかなか眠りに入れそうもない。
 規矩男の手紙には、かの女と逢わなくなったこの短時日の間に経た苦難の後の気持から出た響きがあった。
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 ……(前略)あなたが、あなたの母子情を仲介にして若い男に近づいていることが無意識にもせよ、あなたの母子情を利用しているようで堪えられないと仰有《おっしゃ》れば、僕とても、僕に潜在していた不満な恋愛感を、あなたに接触することで満足させようとしたと云われても――否むしろ僕自身そう僕を観察さえするようになりました。あなたの潔癖があなたの母子情を汚涜《おとく》することとして、それをあなたに許さないように、僕もあなたのその潔癖を汚しては済まないと思います。で、あなたとの御交際をこれ切り
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