」暫らく言葉を切ったイリデ叔母はウイリーの方をちらっと見て――
「だのにウイリーはナチスの党員になって、先日も突撃隊を志願すると言うの。しまいにはローマや巴里へでも突撃して行くつもりでしょうよ」
と言葉をつぎました。イリデ叔母様は眼も鼻も、くしゃくしゃにしてハンケチでこすって居らっしゃいました。ジャネットもイボギンヌもウイリーさえも泣きました。ウイリーは母の肩をさすって――「突撃隊志願はもう止めたよ、心配しなくともよい」――って言いました。ママは何故イリデ叔母様のように胸の悲しみを私に打ち明けて下さいませんでしたの。でも今こそママの苦しかったことを察することが出来ます。私はママの為めに、イリデ叔母様の為めにも陸軍飛行隊へなんか習いに行きません。次ぎの欧洲大戦の始まるまで飛行家志願はおあずけにして置きましょう。安心して下さい。ママ、愈々明後日、私達三人打ちそろってベルリンのツオー駅を出発して和蘭《オランダ》を通って、丁度此の手紙の着く翌日頃にはロンドンのリバプール・ストリート駅へ到着します。私はママの心の中に融け込むような、なごやかな気持ちで帰って行きます、楽しみにして待って居て下さい…
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