秋の夜がたり
岡本かの子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)田舎《いなか》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)母|乍《なが》ら

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「けはひ」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)くしや/\
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 中年のおとうさんと、おかあさんと、二十歳前後のむすこと、むすめの旅でありました。
 旅が、旅程の丁度半分程の処で宿をとつたのですがその国の都と、都から百五十里も離れた田舎《いなか》との中間の或る湖畔の街の静《しずか》なホテルです。
 その国と云ひましたが、さあ、日本か、外国か、今か、昔かと、それを作者はどう極《き》めませう。実は、日本でも外国でも、今でも昔でも関《かま》はないのです。この物語の真実や、真味は、さういふことに一向かまはないで作者の意図に登り、そして読者に語られようとしてゐます。だが挿画《さしえ》画家さんにお気の毒ですね。黒眼を描かうか碧眼《へきがん》を現はさうか縮毛《ちぢれげ》か延髪か描き分けよう術《すべ》もあ
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