傍点]とて珍重《ちんちょう》されたのは、鯉魚庵の有力な檀越《だんおつ》となって始終、道味聴聞《どうみちょうもん》の結果でありました。
 この後、住持三要は、間違いがあってはならぬというので、淵の鯉魚へ生飯を遣《や》る役は老体ながら自分ですることにしました。そこで淵の鯉魚は、再び、斎の鐘を聴くと寺前の水面に集って待つようになりました。
[#地から1字上げ](昭和十年八月)



底本:「ちくま日本文学全集 岡本かの子」筑摩書房
   1992(平成4)年2月20日第1刷発行
底本の親本:「岡本かの子全集」冬樹社
入力:ゆいみ
校正:岩田とも子
1999年9月7日公開
2005年11月30日修正
青空文庫作成ファイル:
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