ているのは「何か面白《おもしろ》いものは無いか知らん。」
○「一生のうち一度だけ、巴里《パリ》は死ぬほど行って見度《みた》いわ。」
○フレッシュの苺《いちご》クリーム、ブライトな日傘《ひがさ》、初夏は楽しい。
○折角《せっかく》ハイキングに行っても、帰って来て是非《ぜひ》銀座へ寄らねば何となく物足《ものた》り無い。
○偉くなろうなぞとはちっとも思わない。空虚な気がする。それより刹那《せつな》々々の充足感。
○そりゃ時々はくさる[#「くさる」に傍点]こともあるわ。希望の飛行機が経済的事情にぶつかって、うまく飛行が運ばない時の気分のエアポケット。けれども理由を運動の不足になすり[#「なすり」に傍点]付けてしまって、せっせとスポーツすれば癒《なお》る。
○わたくし達は、外でお友達と一緒《いっしょ》の時は「ノシちゃえ」なぞと随分《ずいぶん》、男のような言葉も使ってわあわあ騒ぐ。けれども家へ帰って家庭の人となる時は、まるで別人になっておとなしい良家の娘になる。それでいて、どっちにもちっとも矛盾《むじゅん》を感じないのは、われながら不思議《ふしぎ》だ。
○「一生に一度は真剣《しんけん》な気持ちにさ
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