」に「ママ」の注記]デージー、松葉菊、王不留行《わうふるぎやう》、ベ[#「ベ」に「ママ」の注記]チユニヤなど――そしてこれ等の花々は白、紅、紫、橙いろ、その他おの/\の色と色との氈動を起して混り合ひ触れ合つて、一つの巨大な花輪となる――すると幾百本、幾千本とも数知れない茎や葉や幹は、また合して巨大の茎となり葉となり幹となつて、一つの大花輪の支へとなる。
其処に力声が発する。
「吽《うん》! 吽《うん》!」
白玉の汗が音もなく滴り落ちて大地に散り浸む。大地はいつの間にか透けて、地中で白玉の数本の根枝に纒められて、地上のものを、また支へてゐる巨根がカツーン映画の影像のやうに明かに覗かれる。其処から力声が出る。
「吽《うん》! 吽《うん》!」
これは人類に機械的神秘性の体系を立てようとしたジユールロマン[#「ジユールロマン」に「ママ」の注記]の旧いユナニミズムの精舎《アベイ》の姿かと、桂子は夢との境の半意識の裡に想ふ。
「――」
これは詩人クローデルが大胆不敵にいひ除けた、「主は現代の停車場にも、劇場にもある」といつた、韻致カソリシズムの象徴かと桂子は想ふ。
その他、「何々」「何々
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