うか、今はあんな娘であるにしても根が女のことだから、今は聞き流していても、それを潜在意識に貯えて、いつ同じ女の根性になって来ないものでも無い……そんな怖《おそ》れからこれは娘には一切聞かせずに、いっそのことお世話|序《ついで》にあなたにだけ聞いて頂こうと思った。世の中の男のなかにはこういう悩みを持つものもあるものだと、了解して頂き度い……と男の口調や態度には律義ななかに頼母《たのも》しい才気が閃くのだった。
陽は殆《ほとん》ど椰子《やし》林に没して、酔い痴《し》れた昼の灼熱《しゃくねつ》から醒《さ》め際の冷水のような澄みかかるものを湛《たた》えた南洋特有の明媚《めいび》な黄昏《たそがれ》の気配いが、あたりを籠《こ》めて来た。
さき程から左手の方に当ってカトン岬見物の客を相手に、椰子の木に上っては、椰子の実を採って来て、若干の銭を貰っていた土人の子供の猿《ましら》のような影も、西洋人のラッパのような笑声も無くなった。さざ波が星を呼び出すように、海一面に角立っている。
私はこの真摯《しんし》な青年の私に対する信頼に対して、もはや充分了解が出来ても、何か一言|詰《なじ》らないではいら
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