》に集注《しゅうちゅう》するたち[#「たち」に傍点]と見えます。(それゆえ却《かえ》ってこの信念を樹立し合わなかった昔はお互いに或《あ》る部分が少し散漫《さんまん》な所もありました)
さて、わたくし達は「夫婦」だなどと云《い》われるとびっくり[#「びっくり」に傍点]するようなへん[#「へん」に傍点]な気がいたします。「夫婦」でないと云うのもそらぞらしいでしょう、でもそれ以上とかそれ以下とかそれ以外とかも云えないのでしょうね。強《し》いて形容詞のなかへ入れられないような人間同志が無上《むじょう》の信頼と哀楽《あいらく》と相憐《あわれみ》とを共にして生きて居《い》る。――
既《すで》に同一感情と生活意識の上に立って生きて居るとしますれば一つのものを喰《た》べ、同じ所を視《み》、なるべく同じ所に居たいのはあたりまえです。
「あの人達は甘い。」
「あそこではいつも一所《いっしょ》に出かける。」
「へんに仲が好《よ》い。」
などと皮肉らしく云われても平気です。
「かんしんな同棲者達だ。」
「模範《もはん》的な同棲者達だ。」
こうほめられてもあたりまえのような気がします。
世間を対照《た
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