異性に対する感覚を洗練せよ
岡本かの子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)就《つ》いて
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)意識|出来《でき》る
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現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに就《つ》いて著《いちじ》るしく発達して来た。全《あら》ゆる新流行に対して、その深い原理性を丹念に研究しなくとも直截《ちょくせつ》に感覚からして其《そ》の適応性優秀性を意識|出来《でき》る敏感《びんかん》さを目立って発達させて来た。これは新発明とか、創造とかには或《ある》いは適さぬ性質かも知れない。何故《なぜ》と言えば、余り深く一処《ひとところ》、一物《いちもつ》に執着して研鑽《けんさん》を積むという性質ではないからである。しかし、流行の吸収に最も適した性質であり、巧《たくみ》に模倣《もほう》を容易ならしめる特質である。
斯《か》くして現代の一般女性たちは、内外特殊の研究家の創造発表するものを容易に採り上げて自由に利用するであろう。それだけでも昔の日本女性より、ずっと進歩していると言える。物の判断に於《おい》ても感覚を広く鋭くする事によって充分
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