ンス人の打算と純情の間に線を引くのはなかなか難かしい。ね、今日わざわざ探偵長に国境まで娘を送らせたのも国探としてフランス黒表に載って仕舞ったあの娘が途中で捉《つか》まったりし無い保護をしたんですよ。それからあの娘が居無くなるので、市長始め、みんなどんなに気を落して寂しがることでしょう。で、今夜市長の邸《やしき》であの娘を好いて居た連中が集り、あの娘をしのぶ[#「しのぶ」に傍点]会をやるんです。ジンの熱いやつでも※[#「口+奄」、第3水準1−15−6]《あお》って、嘸《さぞ》、男同志が溜息をつき合うことでしょう。
[#ここで字下げ終わり]



底本:「岡本かの子全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1994(平成6)年2月24日第1刷発行
底本の親本:「鶴は病みき」信正社
   1936(昭和11)年10月20日発行
初出:「経済往来」
   1933(昭和8)年10月号
入力:門田裕志
校正:オサムラヒロ
2008年10月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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