つ》もない大きな望みを懷いてゐる
それでよろしければ自分は諸君といつでも握手する

    ※[#ローマ数字2、1−13−22]

自分はどぢだ
別に新らしいものも何も持つてゐない
自分はどぢの骨張で
そのどぢを世界の最も偉大な聖人にしたいと思つてゐる
これが今いうた自分の途徹《とてつ》もない大きな望みだ
聖人には隨分なりたい
今は諸君の憎まれ者かもしれないが
今は諸君のうとまれ者かもしれないが
自分はゆくゆくあとは世界最大の聖人になりたいのだ

ああ自分はどぢであるが爲めに
萬事萬端まがぬけてゐるが爲めに
かかる聖人になり得る資格がある
自分はその點で今いちばん人から後《おく》れがちだがあとでいちばん進んだ人間になる
若くはあらゆる難《むづ》かしいものは皆僕へ來てほどけるやうになる
人生の缺陷《けつかん》
躓《つまづ》き
災害
怪我
間のびてどうにでも倒れるもの
ほろびるもの
うらなり
ぐにやぐにやしたもの
皆確かな生命を吹きこめられる
活溌な生を感じる
彈力がつく
どんでんがへしにはずんで生きる

世界はこれまで暗いものが勢力をしめた
シエクスピアのハムレツト、マクベス、オセロ、ロ
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