北京の生活
長谷川時雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)曲《まが》り角
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]
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そのころ、義弟の住居は、東三條胡同といふ、落着いた小路にあつて、名優梅蘭芳の邸とおなじ側にあつたが、前住のふらんす婦人の好みで、多少ふらんす風に改築された支那家屋だつた。
であるからかも知れないが、玄關をはいると、水族館とも箱庭式ともどつちともつかない、噴水と泉水と、花壇と鉢植の一間があつて、夜は花やかな電燈が點くやうになつてゐる。地下室のレストーランなどが眞似てもよい――また、どこかそんな氣もするところがある好みだつた。その隣室が大小二箇の客間になつてゐた。その次に食堂があつた。
二枚折の腰屏風の片つぽが長いやうな全體の建てかたで、庭に面して折れ曲つてゐた。食堂が兩方の曲《まが》り角になつてゐて、書齋、寢室、湯殿、控部屋と、ずつと奧に、すぐに庭へ出られる廣い部屋が二室あつて、義弟の家では
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