す。
[#ここで字下げ終わり]
といっている。
廿五日ごろになると、帝大法科の教授連が批判回避の申合せをし、白蓮問題は、暫《しばら》く何もいうまいということになったが、牧野、穂積《ほづみ》両博士が興味をもっているとあり、投書の「鉄箒《てつそう》」欄が段々やかましくなっている。
[#ここから2字下げ]
白村《はくそん》の近代の恋愛観のエッセイを読み続けてゆくと、家名、利害をはさまず、人格と人格の結合、魂と魂との接触というが、白蓮、伊藤、宮崎|各々《おのおの》辿《たど》るべきをたどった。(鉄箒)
「法廷に立て」伝右衛門が白蓮女史に送った手紙誰が書いたのか、甚だもって伝右衛門らしくない。彼がとる態度は、有夫|姦《かん》の告訴、白蓮は愛人をともなって法廷に立て。(鉄箒)
「栄華の反映」自分を崇拝している年下の男の方が、自分の弱点を知る石炭みたいな男より我儘が出来るのが当然だが愛がなくてもの同棲十年は、相当|情誼《じょうぎ》を与えたはずだ。(鉄箒)
天才は不遇な裡《うち》に味もあれば同情もあるのだ――虚名を求めて彼女の轍《てつ》を踏むときバクレンとなるなかれ。(鉄箒)
[#ここで字下げ終わり]
前へ
次へ
全33ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長谷川 時雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング