ったのか、ある意味で白蓮さんはうた[#「うた」に傍点]を実行されたのだ。
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と語っている。
 また、九条武子さんは、まあ[#「まあ」に傍点]と大きな吐息をついて、
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只今が初耳でございます、随分思いきった事をなさいましたねえ。あの方とは、昨年お目にかかりました後《のち》は、お互にちょいちょいゆき来《き》はしておりますが、唯うた[#「うた」に傍点]のお友達というだけ、それほど深い話もありません。先日も九州でおめにかかりましたが、それほど深いお悩みのあることは、素振《そぶり》にもお見せになりませんでした。御主人は太っ腹な、それは気持ちのいい方です。まさか短気なことは遊ばしはしませんでしょうね。お年もとり、御思慮も深い方ですが、どうなる事でしょう。
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と、さすがに友達の身を案じて、じっとしてはいられぬという面《おも》もちだったとある。
 博多中券《はかたなかけん》の芸妓ふな子は二十歳で、白蓮さんに受出されて、おていさんという本名になって、伊藤家にいる。その女《ひと》のいうのには、
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※[#「火+華」、
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