明治大正美女追憶
長谷川時雨

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【テキスト中に現れる記号について】 

《》:ルビ
(例)風靡《ふうび》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)武家|跋扈《ばっこ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)女史の※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子《あきこ》さん
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 最近三、五年、モダーンという言葉の流行は、すべてを風靡《ふうび》しつくして、ことに美女の容姿に、心に、そのモダンぶりはすさまじい勢いである。で、美女の評価が覆《くつが》えされた感があるが、今日のモダンガールぶりは、まだすこしも洗練を経ていない。強烈な刺戟《しげき》は要するにまだ未熟で、芸術的であり得ないきらいがある。つねに流行は、そうしたものだといえばそれまでだが、デパートメントの色彩で、彼女らはけばけばしい一種のデコレーションにすぎない。
 さて振りかえって過ぎ越しかたを見る。そこにはいつも、一色の時代の扮飾《ふんしょく》はある。均一の品の多いのは、いつの世とてかわりはないが、さすがに残さ
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