のなすことは今はただ嘲《あざけ》りの笑を招くばかりである。
私はよく知っている、嘲りの下に隠れた或ものを。
そして私は恐れない。
(中略)
――私どもは隠されたる我が太陽を今や取戻さねばならぬ。
[#ここから2字下げ]
わたくしは新らしい女である。わたくしは太陽であると、らいてうさんは叫んだ。
「新らしい女」という名が、讃美、感嘆、中傷、侮辱、揶揄《やゆ》と入り交って、最初は青鞜社員から社友に、それからは一般の進歩的婦人の上にふりそそがれた。
『青鞜』は最初、社会的に全然地位も自由ももたない婦人たちが、文芸を通じて心の世界に自由を求め、そこに自分の生命を見出そうと、中野初子《なかのはつこ》(日本女子大学国文科出身)木内錠子《きうちていこ》(同)保持研子《やすもちよしこ》(同)物集和子《もずめかずこ》(夏目漱石門人・物集博士令嬢)平塚明子《ひらつかはるこ》(日本女子大学家政科出身)の五人の発起だった。
この人たちの勇気と決心は、婦人解放運動の炬火《きょか》となったのだ。
『青鞜』の編輯は、最終のころは、伊藤野枝さんにかわっていた。野枝さんは後に大杉栄《おおすぎさかえ》氏夫人となって、震
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