建築物にかへる。丸の内をとりまく個所は西洋建築でよいとして、日本橋ツ子よ、京橋ツ子よ、そして淺草、下谷の人々よ、安いコンクリートまがひをやめ、耐火、耐震、防空の強かりしたものを建てて、その表面は、黒壁の店藏造りにしませんか。壁を塗らずとも、黒壁をおもはせる、新しい店藏づくりの甍を並べたならば、宮城と相對し、中央に歐風諸建築をはさんで、眞の、日本的な、そして東京の氣風が出ると思ふが――
あんまり急な市の膨脹と共に、田舍のステーシヨン前の感じのする町つづきになつてしまつては、東京の特色が見られない。
アジアの首都、東京の面貌は、日本の、そして東京の特色がなくつてはいけない。
底本:「隨筆 きもの」實業之日本社
1939(昭和14)年10月20日発行
1939(昭和14)年11月7日5版
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年12月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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