吾が愛誦句
長谷川時雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お席書《せきが》き
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十二月|一月《ひとつき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
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六歳のをり、寺小屋式の小學校へはいりまして、その年の暮か、または一二年たつてかのお席書《せきが》きに、「南山壽」といふのを覺えました。だが、この欄に書かうと思ひますのは、それよりもまた一年位たつてから書きました、
[#ここから4字下げ]
百尺竿頭更一歩進
[#ここで字下げ終わり]
といふのでございます。これは、わたくしが、物を覺え、よく記憶したはじめての句だといつてもよいかと思ひます。字句の置きかたは、今まであまり心にしてゐなかつたので違つてゐるかもしれませんが、お席書《せきが》きの字數が長くなつたからばかりでなく、先生からその字句の意味を口授《くじゆ》されたのが、どこか頭にのこつてゐたのだ、と思ひます。
先生はかういひました。これは、棹がだんだん長くなつてゆくのだ。繼棹《つぎざを》だと思つてもいい。とも
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