子夫人の弟君に当られます。なお、夫人の妹君には九条家に※[#「糸+壬」、第3水準1−89−92]子《きぬこ》姫がいられるのでした。ことに、良致男爵へ武子姫が、なおまた鏡如様の弟君の惇麿《あつまろ》様(光明師)へ※[#「糸+壬」、第3水準1−89−92]子姫が、御縁づきになりますことは、籌子夫人御自身の深いお望みなのでした。その暁には、九条家と大谷家との御兄弟が、互にお三方《さんがた》とも御結婚になり、両家にとりてこの上のお睦《むつ》みはないのでした。
籌子お裏方《うらかた》より直接のお諮《はか》りを受けまして、重職の人々は、九条良致男爵を、初めて選考の会議に上すようになりました。それまでは、子爵以上とのみ考えていたのです。
[#ここで字下げ終わり]
なぜ、子爵だ、男爵だというのか、それは前に、東の御連枝という人を、無爵だといって断わったからで、男爵というのに拘《こだ》わるのも、それでは男爵になれるようしますからとまでいって来たのを、すくなくも子爵でなくてはと拒絶したといわれているのを、わたし自身が頷《うなず》くために、引いてみたのだが、良致氏は前から男爵ではなく、武子さんを娶《めと》
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